「おそらく世界で最も幸福な国」デンマークと日本

2020/2/1
デンマークの老舗ビール会社カールスバーグ。宣伝文句は「おそらく世界で最も美味しいビール」です。

 
      
デンマークは、国連の幸福度調査(https://worldhappiness.report/)で上位3位の常連です。デンマークに暮らして、感じることは、この「おそらく」との奥ゆかしいアプローチと、個人と社会の間に存在する信頼関係、そして、伝統と革新を並列させて追求する姿勢ゆえに、デンマークは、「おそらく世界で最も幸福な国」なのだろうということです。

デンマークの教育、社会福祉・医療制度、そしてデジタル化が進む社会に共通する基盤は、デンマーク人の言う”trust”です。個を大切にしながら、社会への貢献を重視する教育、万人のための機会を保証する社会制度、国際社会で競争力を維持するためのデジタル化への挑戦、これら全ての基盤にあるのが”trust”です。

 
  
          (Woven City 写真提供:トヨタ)

本年1月、トヨタが富士山の裾野のスマート・シティーWoven City構想を発表しました。デザインを考えたのはデンマーク人建築家のビャルケ・インゲルス氏。同氏はコペンハーゲン市内の人工スキー場CopenHillを設計。人魚姫像の対岸にそびえる廃棄物処理施設の屋根にスキー・ゲレンデを併設する発想に、ひらめきを感じます。
 

(CopenHill 写真提供:CopenHill/Max Mestour)
 
建築デザインの分野では、2019年デンマークの民間財団が、オーベル建築賞を発足させ、初回の受賞者として、アートビオトープ那須に「水庭」を設計した石上純也氏を選出しました。自然と人工美の共存。近い将来、コペンハーゲンの港に「平和の家」(House of Peace: HOPE)を建てる構想が、石上氏とデンマークの仲間たちによって進められてます。

日本とデンマーク。両国の間には、謙譲の美徳、そしてお互い遠く離れた存在でありながら、デザインに対する探究心と似通った美意識、そして進取の精神との共通項がある。そのような印象をもちます。

 
(石上純也氏によるHouse of Peace(HOPE)プロジェクト)  
 
 
2014年に両国首脳間で合意された「戦略的パートナーシップ」(https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000029491.pdf)にも、そうした両国の精神が込められています。今後、政治、経済、文化面で更に高い次元の協力を積み重ねる。鍵となるのは、デザインとデジタル化ではないかと思います。

2018年、デンマーク政府は「デジタル成長戦略」(https://eng.em.dk/media/10566/digital-growth-strategy-report_uk_web-2.pdf)を発表。デンマークはデジタル政府など進んだ分野もあるが、AI、ビッグ・データ、IOTの面では努力の余地あり、気を引き締めて国際競争力を維持して行こうとしています。日本はアベノミクス(https://www.japan.go.jp/abenomics/index.html)で持続可能な発展を達成し、Society5.0に移行する中で、デジタル化を重視しています。

本年1月、平子裕志経済同友会欧州・ロシア委員長を団長とする調査団が来訪され、なぜデンマークの幸福度は高いのか、教育、労使関係、歴史等、様々な角度から、関係者と意見交換を行いました。また、新藤義孝衆議院議員を団長とする自民党経済成長戦略本部のデジタル化とキャッシュレス社会の調査団も来訪され、金融、シェアー・エコノミーの官民関係者から幅広くヒアリングを行いました。日本の経済と政治を代表される2つの代表団の調査結果が、また一歩、日本とデンマークの新しい協力を進め、日本の将来を照らすものと期待します。
 
 
   
 
(大使館を訪れたカスパー・ウィニンHOPEプロジェクト委員長)
 
それでは、今回はこの辺にて失礼します。冬来たりなば、春とおからじ。ありがとうございました。